サプライチェーンリスク解析の最先端
今回は,「企業はMITの研究を利用してサプライチェーンのリスクを特定し対応する」という記事について簡単に紹介します.記事内で紹介されているリスク評価尺度は,弊社のサプライチェーンリスク分析システムMERIODASでも採用しており,Webアプリで試すことができます.
記事の原文リンク:「Companies use MIT research to identify and respond to supply chain risks」
記事の内容を簡単にまとめると,リスクを特定することは,企業がよりレジリエンスを高め,コストを削減することにもつながります.しかし,サプライチェーンリスクの分析や対応は過去の経験に基づいた判断だけでは不十分で,数理モデルによるデータ解析に基づいた判断をすべきであるとの内容です.
また,記事では,重要なサプライチェーンの「ストレステスト」とグローバルサプライチェーンの回復を導く方法に関するSimchi-Levi教授(MIT)の研究は,4月に米国議会に提出された「2022年大統領経済報告書」(「2022 Economic Report of the President」)に盛り込まれましたとも書いており,米国ではデータ解析に基づいた意思決定が非常に重視されているように感じました.
記事では,「Risk Exposure Index (REI) 」という研究について簡単に触れており,事例についても紹介しています. REIの中核となるのはサプライチェーンの数理モデルで,サプライチェーンのさまざまなノードで起こりうる障害に着目しています.特定のノードが完全に機能を回復するまでの時間を測定する「回復時間」(TTR:time-to-recover)や,障害発生後にサプライチェーンが需要と供給を一致させることができる最大期間を特定する「余裕生存時間」(TTS:time-to-survive)などの変数を計算することによって,このモデルは障害の原因よりも障害がサプライチェーンに与える影響に焦点を当てます.
詳しくは記事原文を御覧ください.
国内のサプライチェーンのリスク関連のサービスを調べてみるとサプライヤーの状況のリアルタイム見える化をしましょうというのが多かったですが,弊社では,サプライチェーンのリスクの特定やレジリエンスを高めるためにはデータの見える化をするだけでは不十分で,数理モデルによる解析が必要であると考えています.
理由は,企業のサプライチェーンは非常に複雑なネットワークになっており,特定の地点での障害がサプライチェーン全体にどのような影響を及ぼすかは簡単には分かりません.記事でも分析してみたら非常に重要だと思っていた戦略パートナーより小さな部品を提供しているサプライヤーの方のリスクが高い事例があったと書いてありました.
また,数理モデルを用いるメリットとして,事前のシナリオ解析によりサプライチェーンのレジリエンスを高めることが可能で,予測できなかった災害が起きた場合も,最善の意思決定を数理モデル解析に基づいて迅速に行うことができます.これ以外にも,リスクも考慮した最適な在庫の配置やサプライヤーの選定を数理モデル解析に基づいて行うことでコスト削減にも繋がります.
弊社では記事での数理モデルと類似のモデルを用いたサプライチェーンリスク解析サービスを行っております.
数理モデルを用いた(最適化ベースの)サプライチェーンリスク解析システムMERIODAS
MERIODASデモページ(「SCMOPTデモバージョン」内)
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