オンライン デザイン スプリント
弊社では以前から問題解決方法として,DESIGN SPRINTを推奨していました.これは,Google Ventureで開発された手法で,短時間で集中して様々なエクササイズを実施することで,ユーザーと一緒に困難な問題を解決することができます.
しかし,オリジナルのSPRINTは1週間(5日間)かかるため日本での普及は難しいと感じていました.SPRINTの特色として,完全オフラインでペンと付箋とホワイトボードだけを用いるため,お忙しい方々が多い日本では,5日間オフラインという時点で,導入を諦める会社がほとんどでした.
弊社では,コロナ禍での問題解決法を模索してきましたが,オンラインでのSPRINTを採用することにしました.同時に,SPRINTの高速化に成功し,2日間(1日目3時間+宿題2時間,2日目3時間半)の短期間で難しい問題が解決できることを実証しました.
1日目
初日は,インタビューを聴きながら,「どうすれば,我々は...できるだろうか」(How Might We)をメモした付箋を作るエクササイズから始まります.
付箋をまとめてドット投票をしたら,長期目標と失敗の原因(スプリント クエスチョン)を書き出します.これも同様に,皆で黙って考えてから,投票します.
長期目標は,楽観的になって「2年後に我々は...」の書き出しで始めます.
スプリントクエッションは,逆に悲観的になって「我々は...できるだろうか?」の書き出しで,長期目標が失敗する理由を列挙します.この問題点を解決するのが,その後の目標になります.
SPRINTはこのように議論をするのではなく(オンラインでの議論は発散します),黙って考えたものを付箋に書いて貼り付けて,投票することによって決定します.
さらに,決定者に大きな権限(大きめのドット)を与えておくことによって,何も決まらない会議を回避することができます.
次に,ストーリーマップを作成します.登場人物を左側に,ゴールを右側に書いて,その間をつなぎます.
そこに,さきほど作成した「どうすれば,我々は...できるだろうか」のメモで多くの票を集めたものを貼り付けます.
最後に,マップ上のどこに注目して問題解決を行うべきかを投票で決めます.
弊社ではオンライン会議のツールには,ZOOMを推奨しています.素人はセキュリティの問題点をあげますが,それはすでに解決済みです.通信が悪くなった場合の圧縮率の自動調整機能など,他のツールにはない利点を多くもっていることが選択の理由です.
オンラインホワイトボードには,MIROを採用しています.熟達したファシリテーターとMIROの組み合わせによって,オンラインでもオフラインとほぼ同じようにSPRINTが可能になります.
次に行うエクササイズは,高速デモ(lightning demos)です.
自分たちの製品・サービスにアイディアを与えてくれるようなアプリ(製品やサービス)の例を見つけてきて,その製品(サービス)の重要アイディアを書き込みます.
MIROを使うと,画像やビデオやホームページそのものを簡単にアップロードすることができるので,オフラインの場合より簡単にデモができます.
デモごとに重要なアイディアを書き出したら初日は終了です.
アイディアの書き出し,クレージー8,コンセプト.スケッチは宿題になります.
2日目
2日目は宿題のスケッチを張り出して,そこに投票をします.
まず,失敗要因を読み上げてから,ドットを好きなだけ,好きな箇所に貼っていきます.質問は,スケッチの下に貼ります.
次に,各自のイニシャルが入ったドットを投票し,スケッチ作成者の発表を聴きながら,プロトタイプに取り入れた方が良いと感じたコンセプトとそれを選んだ理由を書き出します.
最後に,コンセプトにも投票して,重要なコンセプトを選んでおきます.
次に,ユーザーのテストフローを作成します.
これも全員で議論するのではなく,各自が20分かけてフローを作成します.左側にエントリーポイント,右側に理想的なゴールを書いて,間を埋める数ステップを書きます.
できあがったら,全員のフローを集めて,投票によって採用するフローを作成します.
最後に,ストーリーボードを作成します.
8個くらいの箱を準備して,スケッチから好評だったコンセプトを入れていき,ユーザーフローを考えながら間を埋めれば完成です.
3日目にはプロトタイプを,4日目にはユーザーテストをしますが,これは全員参加でする必要はありません.
これが新しいオンラインスプリントの概要です.
ご興味をもたれた方は,こちらまでご連絡いただければ,MIROのテンプレートなどの資料や,お客様にあわせたSPRINTの設計を致します.