サプライ・チェイン在庫最適化システム WebSCM Ver. 1.0

概要

WebSCMでは,サプライ・チェイン全体を通して,どこに安全在庫を配置するかを,戦略的に最適化することを目標とします.ある統計によると,日々の運用によって決まる在庫費用は,全体の 20% 程度で,その他の 80%は,戦略的な(中・長期的な)在庫の配置によってすでに定まっていると言われています.WebSCMでは,この80%の費用削減を目標としたサプライ・チェインの設計ツールです.

モデル

各在庫地点は,その地点の下流の在庫点が発注後,決められた時間内に品目の補充を行うことを保証しているものとします.これを「保証リード時間」とよびます.ここで考えるモデルの目標は,サプライ・チェイン全体での在庫費用を最小にするように,各在庫地点における保証リード時間を決定することです.補充リード時間(注文をしてから生産が完了するまでの時間)から保証リード時間(注文を受けてから供給するまでの時間)を差し引いた日数を「正味補充時間」とよびます.

    正味補充時間 = 補充リード時間-保証リード時間 

各在庫地点では,正味補充時間内に発生する最大需要量分の在庫をもっていれば,在庫切れが起きないことが保証されます.すなわち,正味補充時間は,安全在庫日数を表します


入力データ

最適化のためには,入力データが必要になります.WebSCMでは,以下のデータ項目を入力します.

品目データ

WebSCMのメイン画面では,品目に関するデータを入力します.(画面をクリックすると拡大されます.)

WebSCM1.JPG (120830 バイト)

データを編集するには,表の左端にある編集ボタンを押して下さい.編集用のウィンドウが表示されて,顧客データの入力が可能になります.(画面をクリックすると拡大されます.)データを入力したら,更新もしくは追加ボタンを押して下さい.

 
品目ID::品目を区別するためのIDです.
品目名称: 品目の名前です.
生産時間: 在庫地点での品目の経過時間を「生産時間」とよびます.一般には,品目を加工したり,運搬したり,作業待ちをしたりする時間の合計をさします.達成可能なぎりぎりの時間でなく,余裕をもって達成可能な時間を入力してください.
付加価値:在庫地点で付加される品目 1単位あたりの価値の増分を入れてください.各在庫地点へ供給される品目の価値の合計に,その地点で付加される価値(製造費用や調達費用の和)を加えたものが,その地点での品目の価値になります.一般に,サプライ・チェインの下流(需要側)に行くにしたがって,品目の価値は増大していきます.
保証リード時間:在庫地点において,その地点が品目を納入する(下流の)在庫点が発注後,品目の補充を行うことを保証している時間を「保証リード時間」とよびます.顧客や外部からの資材の納入など,保証リード時間を定数として与えたい場合もあります.ここでは,保証リード時間の下限と上限をユーザーが与えることによって,探索範囲を限定するものとします.定数として与えたい場合には,下限 = 上限と入力してください.
下限:保証リード時間の下限です.
上限:保証リード時間の上限です.
補充リード時間: 在庫地点が品目を注文をした後,品目を上流の在庫地点から受けとり,それらの品目をもとに生産を完了するまでの時間を「補充リード時間」とよびます.上流の在庫地点の保証リード時間のうちの一番大きい値に,生産時間を加えたものになります.
正味補充時間:補充リード時間(上流の在庫地点に注文をしてから生産が完了するまでの時間)から保証リード時間(下流の在庫地点からの注文を受けてから供給するまでの時間)を差し引いた時間を「正味補充時間」とよびます.各在庫地点では,正味補充時間内に発生する最大需要量分の在庫をもっていれば,在庫切れが起きないことが保証されます.
平均:品目の需要量の平均値です.WebSCM内のアルゴリズムは任意の分布で求解できますが,入力の簡便さのため,正規分布を仮定しています.
標準偏差:需要の標準偏差を入力します.
安全在庫率:需要が正規分布にしたがうと仮定したときには,安全在庫量は以下のように決めるものとします.

安全在庫量 =  安全在庫係数×需要の標準偏差×正味補充時間1/2


在庫保管比率: 在庫保管比率とは,在庫量から在庫費用を計算する際の係数です.

     安全在庫費用= 在庫保管比率 × 品目の価値 ×安全在庫量

これは,対象とする企業体が品目の価値を現金として保有して他の活動に利用したときの利率,在庫をもつことによる品目の価値の目減り,保管に要する光熱費や倉庫費などの合計によって決められます.在庫地点が異なる企業体に属する場合もあるので,在庫地点ごとに異なる在庫保管比率を入力できるようにしてあります.
共同管理係数:各需要地点間の相関を表現するためのパラメータです. ある在庫地点が供給する需要地点における需要が独立(無相関)な場合には,共同管理係数は 2 と設定します.相関が大きい場合には 1 に近い値を入力します.また,負の相関(逆相関)の場合には 2 より大きな値を入力します.
累積需要量:自分自身の需要と自分の親品目を製造するために必要な量.サプライ・チェインの下流から需要を累積したもので,システムの最適化の際に自動的に書き込まれます.
価値:品目の価値.品目の付加価値を累積したものです.システムの最適化の際に自動的に書き込まれます.
在庫量:品目の安全在庫量.最適化によって計算されます.
在庫費用:安全在庫費用.最適化によって計算されます.

品目対データ

このテーブルでは,品目のペアに依存して決まるパラメータを保管します.(画面をクリックすると拡大されます.)

WebSCM2.JPG (88153 バイト)


在庫地点を点とし,品目(部品,半製品,商品などの総称)の移動,加工などを枝(点と点の間の線)としたネットワークを入力します.これによって,各品目がサプライ・チェイン内をどのように流れるか,各品目がどの品目から構成されているか,などを入力します.同時に,各品目を生産するための部品や原料となる品目の必要量を枝上に入力します.このネットワークは,閉路を含まない木ネットワークである必要があります.
子品目ID:部品(原料)に対応する品目IDを入力します.品目の名称は,システムによって自動的に書き込まれます.
親品目ID:部品から製造(生成)される品目IDを入力します.品目の名称は,システムによって自動的に書き込まれます.
必要量:親品目を1 単位製造するのに必要な子品目の数を入力します.
移動時間:子品目を親品目のところまでに輸送するときに必要な時間を入力します.

使用法

上のデータを入力したら,最適化実行と書かれたボタンを押してください.最適化アルゴリズムが起動し,しばらくすると,最適な安全在庫費用,保証リード時間,補充リード時間,正味リード時間が表示されます.